価値ある家づくりに大切なこと


皆さんは自分の家の本当の価値をご存知でしょうか?



今の住宅市場にある、大手をはじめとした一般的な建築会社の設計する家の寿命は30年。


国の定める家の価値も、25年も経てば価値がゼロとなり、ローンが終わる前に家の寿命で建て替えましょうというのが今の住宅の常識となりつつあります。



友人・知人からの住宅相談も度々受けますが、

実際、仕事でリフォームやリノベーションなど手掛けてみますと、築30年や40年の家など構造体(土台、柱、梁)に全く問題無いのがほとんどです。


無垢の構造体なんかはむしろ、古ければ古いほど強度は増しますし、経年変化に馴染んでしっかり安定しています。

何より、これまでの多くの地震や四季による湿気や乾燥による変化を繰り返し、耐えてきた実績があります!


北海道ではあまり使われませんが、ヒノキなんかは何百年とかけて強度が増し続ける、日本の木材の中でも優れた耐久性のある木材です。


築1,300年以上を誇る法隆寺五重塔に使用されている木材もヒノキです。


皆が思う(言う)価値や寿命とは構造体ではなく、内装材や仕上げ材の事です。



価値ある家づくりとは?

それは価値を落とさない家づくりでもあります。


では、新築・リフォーム・リノベーションを考えた時にどうしたら価値を落とさない家づくりができるのか?

一つひとつ優先順位の高いものから順に5つのポイントを紹介します!




①構造体

先ず新築であれば、家の構造体に使用する材料に無垢材を使用し、なるべく集成材などは使用しない事です。


これにより、住宅内部のアレルギー物質も減りますし、若干のコストも抑えられます。

経年の木の変化は当然ありますが、施工の質で充分カバーできるので全く問題ありません!



②建物外部

次に、将来的にメンテナンスやリフォーム時にコストが掛かる断熱サッシや外壁材など外部にお金を掛ける事を勧めます。


木製サッシや樹脂サッシのどちらでも構いません。

外壁材に使用する仕上げ材によって見た目のバランスもあるかと思いますので、ガラスにだけはこだわってください。


使用するガラスはトリプルガラスをお勧めします。

住宅内部の冷えや結露の原因は、床下の隙間から上がる冷気と、窓の性能による冷えが主です。


2016年にLIXILから出した樹脂サッシなんかは驚異の熱貫流率0.34w/m2・Kと、昨今の住宅断熱・気密性能による壁の温度と変わらない性能です。


建築コストは上がりますが、毎年の冷・暖房のコストを抑える事ができます。

この先他のメーカーからも次々と同等製品をだしてくるので、そうなれば価格も下がっていくでしょう。


外壁材は無垢材が理想的ですが、最近では30年保証のサイディングもメーカーから多くでてますのでそちらを使用するのもいいでしょう!


決して安価なものはお勧めできません!


外壁のメンテナンスは室内とは違い、建物全面に足場を組む必要がありますので、思った以上のコストが掛かる部分です。


ご近所からの傷んだ箇所の外壁補修の依頼が度々ありますが、補修自体は簡単なのですが、足場に掛かる金額は全面張り替えも、部分補修も同じだけのコストが掛かりますので、最終的に

「全面的な改修が必要になったらお願いします。」で終わる事が多いのが外壁です。



③床

次に、メンテナンス、リフォーム時にコストが掛かるのは床です。

床材は無垢のフローリングをお勧めします。

できれば無塗装品で、自然素材のオイルや蜜蝋ワックスなどでの仕上げをお勧めします。

床材も質感や用途、好みに合わせて様々な材種がありますので、部屋ごとに張り分けるのもいいでしょう!


我が家の床材は、

リビングに北海道産のナラでキヌカオイル仕上げ。

玄関ホールは北海道産のカバでバトンオイル仕上げ。

二階寝室と妻の仕事部屋には北海道産の道南杉を使用し、寝室はキヌカ仕上げ。妻の部屋は無塗装のままです。

ナラとカバは広葉樹で比較的かたい木で、物を引きずったり落としたりしても傷付きにくい材になります。


二階の杉は、針葉樹でナラなどに比べてとても柔らかい木なので、当然傷付きやすいですが、肌触りも柔らかく体感的にもとても暖かい材になります。


メンテナンスも皆さんが思ってるほど大変ではありません。


床の傷や色褪せも、表面を一皮削れば元通りの質感が蘇りますし、不思議な事にメンテナンスを加える毎に光り輝き家全体がイキイキ明るくなっていきます!


一般的な合板のフロア材は、建築コストを大幅に抑える事ができますが、床の張替えを考えた時、その部屋の家財を全て移動させる必要があるので、これは大変な労力になります。


今の工法の家だと、床にフロアを張る時に強力な接着剤を使用しているので、解体時に床の下地まで一緒に剥がれ、下地ごとの交換が必要になる事があるので、コストに加え工事に数日掛かることも頭に入れておく必要があります。

既存の床の上に新たに張る事も当然できますが、建具や他の部屋との境目など色々なところにも絡んできますので、様々な不具合も出てきます。



④建具・窓周り

次は内部に使用する建具や窓周り(窓台)です。


これもまた最近各メーカーからも無垢材を使用した建具も多く出ていますので、そちらを選ぶのもいいと思います。


家の古くささを演出するのは、一つに建具や窓周り(窓台)があります。

せめて窓台や建具枠だけでも無節の無垢材を使用することで、経年の変化が美しく見えてきます。


扉は、その時の移り行く好みや用途、流行りなどでいくらでも変えていく事ができるので建具枠の質(材)にこだわるのはお勧めです!


特に、窓周り(窓台)に安価なプリントシートなどで仕上げた材を使うと、湿気や結露の出やすい箇所のために酷い場合、何年も経たないうちに表面が剥がれてみすぼらしい結果を生む事にもなりかねません。



⑤内装

最後は内部の仕上げに使用する内装材です。

ここでは主に壁に焦点を当てていきます。


今当たり前の様に壁の仕上げに使用するクロス(壁紙)ですが、これは建築コストやメンテナンスに掛かるコストも含め、選択肢の主流になるのも分かります。

もちろん私もお施主さんの予算に対し、コストを考える時には優先順位の低い部分でもありますので否定もできません。


一つだけ言いたいのは、このクロスに使用する接着剤やクロス自体の原材料から出る環境ホルモンの影響なのか、化学物質過敏症(シックハウス)のひとが年々増えてきている事実があります。

クロスに加え、集成材や新建材を使用した今の新築住宅1棟に使用される接着剤の量はドラム缶一本分とも言われています。

メディア等ではまだあまり表には出でおらず、認知度も低いのですが、化学物質過敏症を一度でも発症すると、今までの普通の生活が大変困難になってしまいます。


詳しくはネットでググッていただくと沢山の事例がありますのでそちらをご覧くとして、

予算の許す限り、特に寝室と、次に長い時間を過ごすリビングの内装の仕上げ材には、珪藻土や漆喰、土壁なんかもお勧めです。


メーカー各社からも自然素材にこだわった製品も多く出ていますので、その時の担当者などにしつこく情報を請求してください!




以上、5つが価値ある家づくりに大切なことになります。


今主流の新建材と言われるMDFやプリント合板などで仕上げた家は、無垢材とは違い経年劣化します。

湿気や紫外線で色褪せ古びていき、20年も経てば本物の木の様に見せかけていたメッキがボロボロと剥がれ落ちていきます。

建てた当時の流行りの質感や色も、時間とともに古臭くも感じます。


本来であれば子や孫の世代に住み継いで行くべき家も、パッと見の古くさだけで “嫌だ嫌だ” と子供達も親同様に命がけの住宅ローン地獄に毎世代縛られていきます。



日本は戦後から高度成長期を経て豊かな国になり、同時に住環境も成熟し豊かになりました。

住宅に使用される断熱材や断熱サッシなどの性能も、20年前より格段にアップし、行き着くとこまで来ています。

これからの家づくりは、これらを生かした住み継ぐ家づくりをしていく段階に入ってきました。


先代や家族の残した家を継がずに郊外へと子供達は新たに家を建てていますが、この先日本の人口は減っていきます。

親世代も次々地球を卒業して中心部の家や土地が空いてきますが、それを活かす事なく、自分もそうだった様に子供世代はあなたの家を “古臭い” なんて言いながら新たに家を建てます。

あなたの親やお爺さんが住んでいた地域が、実は価値ある地域なのです。


フルリフォームやリノベーションで、今ある先代の残した家を新築並みのコストを掛けて大改造したとしても、極端な話、柱一本でも残して全てを建て替えたとしても、今現在の建築基準では固定資産税は変わりません。

築25年も経っていれば、上物にかかる税金ばゼロなのです!


当然のことながら、郊外の新興住宅地に建てたあなたの家やその地域は、空き家だらけの廃墟の様になるのは誰の目から見ても明らかです。

これから家を建てるひとや、フルリフォーム・リノベーションをされるひとは、価値を生む家づくりを知ってください!

そう簡単にどこの誰とも分からない赤の他人に、先代の土地・建物を売り渡さずにそれを活かしてください。

不動産や建築の真実を知る者が、安易に売りに出る価値ある地域の土地を手ぐすね引いて狙っています。


まだまだ再生可能な家を、一方的な国の評価基準に照らし合わせて

  • 「築30年だから家の価値はゼロね!」
  • 「土地の価格から建物の解体費用を差し引いて買取りしますよ‼︎」

なんて言いながら下取り評価を出してきます。


同様に、仮に賃貸として貸そうにも、どこにでもある似たり寄ったりの新建材の作りでは中々借り手も付かないでしょう。

いずれにせよ、結果的に安く叩かれて終わってしまうのがオチです。


一生にそう何度も無い超高額なお買物です。


新築であれば銀行に生命保険まで掛けられ、抵当権まで奪われる程の命がけのお買物です。

これからの家づくりとその子供達のためにも、

先代の残した、家の本当の価値を活かした生き方への参考になりましたら幸いでございます!



新國 ~NIIKUNI~

北海道札幌市で道産材を中心とした無垢材で家づくりをしています。 20代の頃には不動産業に従事していましたが、販売する住宅やリフォームの在り方に日々疑問を募らせ、30才で大工に弟子入り。 時間の経過とともに価値が落ちる家づくりではなく、時間の経過とともに価値を生むヨーロッパ諸国のように【 住み継ぐ家 】を伝えていくことをコンセプトに日々家づくりと向き合ってます。 niikunis@gmail.com

0コメント

  • 1000 / 1000